「土星」の衛星はかなり最近に生成された可能性が示される
- 2016/12/09
- 23:32
「土星」の衛星は、土星が誕生した約46億年前ではなく、それより新しい時代に生成された可能性がValéry Laineyらの研究チームによって明らかとなった。
論文:Valéry Lainey, et.al. "New constraints on Saturn's interior from Cassini astrometric data" (2016)

土星の衛星は、少なくとも土星本体よりかなり新しく形成されたらしい。
画像引用元 (NASA/Jet Propulsion Laboratory)
ある天体を中心として周辺を公転する天体は、中心の天体より潮汐力を受ける。潮汐力によって公転する天体の公転速度は遅くなり、公転軌道が膨らむ傾向にある。即ち潮汐力を決定づけるパラメーターが判明していれば、公転軌道の変化から過去の天体の位置を定める事が出来る。潮汐力を決定づけるのは「ラブ数」と「損失係数」である。土星の場合、土星内部に存在する水素とヘリウムの混合液体、および中心部にある岩石主体の核の存在によって決定される。そしてこの2つの数値は衛星の公転軌道を測定すればわかる。
しかしながら、これは実際には困難である。衛星自身の重力が土星に潮汐力を与えるため、衛星の公転軌道の変化はかなり複雑だからである。
Valéry Laineyらの研究チームは、自身がとても小さいために潮汐力を無視できる大きさの「テレスト」、「カリプソ」、「ヘレネ」、「ポリデウケス」の4衛星の公転軌道をNASAの土星探査機「カッシーニ」のデータを用いて解析した。テレストとカリプソは「テティス」、ヘレネとポリデウケスは「ディオネ」のラグランジュ点に存在するトロヤ衛星であり、軌道が詳細に測定可能である。
Laineyらは、4衛星の公転軌道の変化を解析し、土星のラブ数を k2=0.390 ± 0.024 と初めて定量的に評価した。
このラブ数の下では、土星の衛星は、土星が誕生した約46億年前に同時に形成されたとするには無理があるとLaineyらは推定している。土星の衛星は46億年間で現在よりもかなり遠くまで離れて行ってしまうだろう。このため、土星の衛星は、もっと最近に生成されたとするのがLaineyらの見解である。
今回の解析では、衛星の内「レア」が、他の衛星と比較しても10倍も速く移動している事が判明した。このメカニズムは今のところ不明である。
論文:Valéry Lainey, et.al. "New constraints on Saturn's interior from Cassini astrometric data" (2016)

土星の衛星は、少なくとも土星本体よりかなり新しく形成されたらしい。
画像引用元 (NASA/Jet Propulsion Laboratory)
ある天体を中心として周辺を公転する天体は、中心の天体より潮汐力を受ける。潮汐力によって公転する天体の公転速度は遅くなり、公転軌道が膨らむ傾向にある。即ち潮汐力を決定づけるパラメーターが判明していれば、公転軌道の変化から過去の天体の位置を定める事が出来る。潮汐力を決定づけるのは「ラブ数」と「損失係数」である。土星の場合、土星内部に存在する水素とヘリウムの混合液体、および中心部にある岩石主体の核の存在によって決定される。そしてこの2つの数値は衛星の公転軌道を測定すればわかる。
しかしながら、これは実際には困難である。衛星自身の重力が土星に潮汐力を与えるため、衛星の公転軌道の変化はかなり複雑だからである。
Valéry Laineyらの研究チームは、自身がとても小さいために潮汐力を無視できる大きさの「テレスト」、「カリプソ」、「ヘレネ」、「ポリデウケス」の4衛星の公転軌道をNASAの土星探査機「カッシーニ」のデータを用いて解析した。テレストとカリプソは「テティス」、ヘレネとポリデウケスは「ディオネ」のラグランジュ点に存在するトロヤ衛星であり、軌道が詳細に測定可能である。
Laineyらは、4衛星の公転軌道の変化を解析し、土星のラブ数を k2=0.390 ± 0.024 と初めて定量的に評価した。
このラブ数の下では、土星の衛星は、土星が誕生した約46億年前に同時に形成されたとするには無理があるとLaineyらは推定している。土星の衛星は46億年間で現在よりもかなり遠くまで離れて行ってしまうだろう。このため、土星の衛星は、もっと最近に生成されたとするのがLaineyらの見解である。
今回の解析では、衛星の内「レア」が、他の衛星と比較しても10倍も速く移動している事が判明した。このメカニズムは今のところ不明である。
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