「矮小銀河群」を世界で初めて観測
- 2017/01/29
- 18:35
複数の矮小銀河が重力的に結合した「矮小銀河群」をS. Stierwaltらの研究チームが世界で初めて発見した。
論文:S. Stierwalt, et.al. "Direct evidence of hierarchical assembly at low masses from isolated dwarf galaxy groups" (2016)

発見された矮小銀河群の画像。視線速度がほぼ同一の矮小銀河が狭い範囲に集中している。
画像引用元 (Nature Astronomy)
「矮小銀河」は、通常の銀河より質量の小さな、大抵は不規則な形をしている星の集団である。矮小銀河は銀河のごく初期の段階であるとする推定があり、矮小銀河が合体して銀河系のような大きな銀河になったとする推定がある。それならば、合体する前に複数個の矮小銀河が重力的に結合した「矮小銀河群」が存在するはずだが、これまでそれは未発見であった。矮小銀河は明るさがかなり暗いため、発見自体が困難であるためである。
S. Stierwaltらの研究チームは、SDSS (スローン・デジタル・スカイサーベイ) や他の光学望遠鏡で収集された数々の掃天観測データを元に分析を行った結果、全てで7つの矮小銀河群と見られるごく接近した矮小銀河の集団を発見した。確定すれば矮小銀河群を発見した初の成果となる。これらは3~5個の矮小銀河で構成され、その質量は4.4×109~2 × 102M☉、銀河系の10~0.1%程である。
矮小銀河群は、単に銀河の進化を調べる事のみならず、暗黒物質の研究においても重要な観測対象となる。矮小銀河は暗黒物質が普通の銀河と比較して量が多く、更に年齢が古い事から塵などの余計な物質が少ないため、暗黒物質を観測するには便利だからである。
論文:S. Stierwalt, et.al. "Direct evidence of hierarchical assembly at low masses from isolated dwarf galaxy groups" (2016)

発見された矮小銀河群の画像。視線速度がほぼ同一の矮小銀河が狭い範囲に集中している。
画像引用元 (Nature Astronomy)
「矮小銀河」は、通常の銀河より質量の小さな、大抵は不規則な形をしている星の集団である。矮小銀河は銀河のごく初期の段階であるとする推定があり、矮小銀河が合体して銀河系のような大きな銀河になったとする推定がある。それならば、合体する前に複数個の矮小銀河が重力的に結合した「矮小銀河群」が存在するはずだが、これまでそれは未発見であった。矮小銀河は明るさがかなり暗いため、発見自体が困難であるためである。
S. Stierwaltらの研究チームは、SDSS (スローン・デジタル・スカイサーベイ) や他の光学望遠鏡で収集された数々の掃天観測データを元に分析を行った結果、全てで7つの矮小銀河群と見られるごく接近した矮小銀河の集団を発見した。確定すれば矮小銀河群を発見した初の成果となる。これらは3~5個の矮小銀河で構成され、その質量は4.4×109~2 × 102M☉、銀河系の10~0.1%程である。
名前 | 距離 (Mpc) | 銀河数 | 大きさ (kpc) | 質量 (log10M☉) | 光度 (log10L☉) |
1049+09 | 146±5 | 5 | 80.5 | 9.56±0.07 | 10.34±0.02 |
1623+15 | 147±5 | 4 | 78.4 | 9.40±0.05 | 10.19±0.03 |
1403+41 | 152±5 | 4 | 43.3 | 9.51±0.06 | 10.34±0.02 |
1440+14 | 78±4 | 3 | 32.2 | 8.91±0.08 | 9.51±0.03 |
1718+30 | 65±5 | 3 | 31.2 | 9.11±0.08 | 9.69±0.03 |
0909+06 | 201±5 | 3 | 32.3 | 9.65±0.07 | 10.13±0.04 |
1349-02 | 101±4 | 3 | 15.9 | 8.63±0.09 | 9.56±0.05 |
矮小銀河群は、単に銀河の進化を調べる事のみならず、暗黒物質の研究においても重要な観測対象となる。矮小銀河は暗黒物質が普通の銀河と比較して量が多く、更に年齢が古い事から塵などの余計な物質が少ないため、暗黒物質を観測するには便利だからである。
スポンサーサイト