砂粒や融けた鉄の雨が降る天体 自由浮遊惑星「PSO J318.5338-22.8603」の大気を観測
- 2015/11/08
- 18:51
自由浮遊惑星としては初めてとなる、「PSO J318.5338-22.8603」の大気の変化をBeth A. Billerらの研究チームが観測に成功した。
論文:Beth A. Biller, et.al. "Variability in a Young, L/T Transition Planetary-Mass Object" (2015)

PSO J318.5338-22.8603 の想像図。
画像引用元 (Science Daily)
例えば地球を含め太陽系の惑星は太陽という恒星の周りを公転している。また「WD B1620-26」や「PSR B1257+12」やのような、白色矮星や中性子星といった恒星以外天体のの周りを公転する太陽系外惑星も存在する。「自由浮遊惑星」とは、そのような何らかの公転の中心となる天体を持たない惑星の事である。自由浮遊惑星は、ドップラー分光法やトランジット法といった太陽系外惑星で用いられる主流の観測方法では見つける事が出来ず、重力による自己収縮で熱を発する性質を利用して赤外線領域での観測により発見する事が出来る。このような性質のため、発見される自由浮遊惑星の多くは表面温度が高く、褐色矮星との境界部に属するような質量の天体も存在する。このため、自由浮遊惑星の研究は、恒星とガス惑星の境界部の考察に利用される。
今回Beth A. Billerらの研究チームが観測したのは、「PSO J318.5338-22.8603」と呼ばれる自由浮遊惑星である。2013年に発見された、地球に最も近い太陽系外惑星の候補である。誕生から2300±300万年経っており、質量は木星の8.3±0.5倍と推定されている。表面温度は850~920℃ (1160+30-40K) であり、スペクトル分類としてはL型である。
Billerらは PSO J318.5338-22.8603 の明るさの変化を観測した。もし PSO J318.5338-22.8603 に大気があるならば、雲が形成されている可能性が高い。雲の変化は自転周期によって見え方が変化する為、遠くから観測すればそれは明るさの変化となる。実際に初期の観測では、3~5時間で10%以内と7%以内での変化があるという別々の報告があった。Billerらは、PSO J318.5338-22.8603 の自転周期を5時間と仮定し、高測光精度観測で3時間の計測を行った。その結果、短時間の計測で3%程度の明るさの変化を観測した。L型の天体でこれほどの明るさの変化を観測したのは初めてである。また、自由浮遊型惑星の天候を観測したのはこれが初めてである。
今回の観測結果から示唆される PSO J318.5338-22.8603 の天候は、砂粒サイズの岩石、もしくは融解した鉄の雨が降り注ぐ天体である。
論文:Beth A. Biller, et.al. "Variability in a Young, L/T Transition Planetary-Mass Object" (2015)

PSO J318.5338-22.8603 の想像図。
画像引用元 (Science Daily)
例えば地球を含め太陽系の惑星は太陽という恒星の周りを公転している。また「WD B1620-26」や「PSR B1257+12」やのような、白色矮星や中性子星といった恒星以外天体のの周りを公転する太陽系外惑星も存在する。「自由浮遊惑星」とは、そのような何らかの公転の中心となる天体を持たない惑星の事である。自由浮遊惑星は、ドップラー分光法やトランジット法といった太陽系外惑星で用いられる主流の観測方法では見つける事が出来ず、重力による自己収縮で熱を発する性質を利用して赤外線領域での観測により発見する事が出来る。このような性質のため、発見される自由浮遊惑星の多くは表面温度が高く、褐色矮星との境界部に属するような質量の天体も存在する。このため、自由浮遊惑星の研究は、恒星とガス惑星の境界部の考察に利用される。
今回Beth A. Billerらの研究チームが観測したのは、「PSO J318.5338-22.8603」と呼ばれる自由浮遊惑星である。2013年に発見された、地球に最も近い太陽系外惑星の候補である。誕生から2300±300万年経っており、質量は木星の8.3±0.5倍と推定されている。表面温度は850~920℃ (1160+30-40K) であり、スペクトル分類としてはL型である。
Billerらは PSO J318.5338-22.8603 の明るさの変化を観測した。もし PSO J318.5338-22.8603 に大気があるならば、雲が形成されている可能性が高い。雲の変化は自転周期によって見え方が変化する為、遠くから観測すればそれは明るさの変化となる。実際に初期の観測では、3~5時間で10%以内と7%以内での変化があるという別々の報告があった。Billerらは、PSO J318.5338-22.8603 の自転周期を5時間と仮定し、高測光精度観測で3時間の計測を行った。その結果、短時間の計測で3%程度の明るさの変化を観測した。L型の天体でこれほどの明るさの変化を観測したのは初めてである。また、自由浮遊型惑星の天候を観測したのはこれが初めてである。
今回の観測結果から示唆される PSO J318.5338-22.8603 の天候は、砂粒サイズの岩石、もしくは融解した鉄の雨が降り注ぐ天体である。
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