月の重力は地球の降水量にわずかながら影響を与える
- 2016/02/05
- 23:55
月の重力は地球の熱帯地域の降水量にわずかな変化をもたらす事がTsubasa KohyamaとJohn M. Wallaceの研究チームによって明らかとなった。しかしながら、その影響は気にならないほど非常に小さなものである。
論文:Tsubasa Kohyama and John M. Wallace. "Rainfall variations induced by the lunar gravitational atmospheric tide and their implications for the relationship between tropical rainfall and humidity" (2016)

月の位置と、それによって起こる大気圧の変化量、大気圧の変化率、降水量の変化量を示したグラフ。
画像引用元 (University of Washington)
月の重力は地球に影響を与えているのは、潮位の変化を見れば明らかな事である。しかしながら、影響が小さな事柄になるほど、本当に影響を与えているのか、データを得る事が難しくなる。このため、影響を与えるだろうと言う予測は多いが、実際に結論が導き出されたものは少ない。
今回Tsubasa KohyamaとJohn M. Wallaceの研究チームは、月の重力が地球の降水量に極めてわずかながら影響を与える事を初めて示した。なぜ月の重力が降水量に影響するのか。まず、月の重力によって地球の大気は引っ張られる。海水が引っ張られて潮位の変化が起こるのだから、同じ流体である大気に変化があってもおかしくない。実際、1847年には温度を基準に、1932年には大気圧の変化で、実際に月の重力が大気に影響している事が発見されている。一般に、月がある側では大気が引っ張られるため、大気圧が上昇する。
大気の圧力変化は、空気が含む事が出来る水蒸気の最大量、即ち飽和水蒸気量を変化させる。大気圧が高くなれば気温は上昇し、飽和水蒸気量は増える。飽和水蒸気量が増えれば、水蒸気が水滴になって雨となる露点温度に達しにくくなるため、月があると雨が降りにくくなるはずである。
Kohyamaらは、気候が一年中安定している北緯10度から南緯10度の熱帯地方を対象に、1998年から2012年までの間にNASAの地球観測衛星が集めた気象データを解析した。その結果、降水量のわずかながら変動が観測された。月の重力の影響でもたらされる降水量の振幅は0.00078mm/hであり、総降水量の約1%程度である。
今回の研究結果は、実際の所、明日の天気予報に対しては大した影響は与えないだろう。しかしながら、長期的な気候変動や大規模な災害予測と言った大きな気候モデルには多少影響を与えるかもしれない。
論文:Tsubasa Kohyama and John M. Wallace. "Rainfall variations induced by the lunar gravitational atmospheric tide and their implications for the relationship between tropical rainfall and humidity" (2016)

月の位置と、それによって起こる大気圧の変化量、大気圧の変化率、降水量の変化量を示したグラフ。
画像引用元 (University of Washington)
月の重力は地球に影響を与えているのは、潮位の変化を見れば明らかな事である。しかしながら、影響が小さな事柄になるほど、本当に影響を与えているのか、データを得る事が難しくなる。このため、影響を与えるだろうと言う予測は多いが、実際に結論が導き出されたものは少ない。
今回Tsubasa KohyamaとJohn M. Wallaceの研究チームは、月の重力が地球の降水量に極めてわずかながら影響を与える事を初めて示した。なぜ月の重力が降水量に影響するのか。まず、月の重力によって地球の大気は引っ張られる。海水が引っ張られて潮位の変化が起こるのだから、同じ流体である大気に変化があってもおかしくない。実際、1847年には温度を基準に、1932年には大気圧の変化で、実際に月の重力が大気に影響している事が発見されている。一般に、月がある側では大気が引っ張られるため、大気圧が上昇する。
大気の圧力変化は、空気が含む事が出来る水蒸気の最大量、即ち飽和水蒸気量を変化させる。大気圧が高くなれば気温は上昇し、飽和水蒸気量は増える。飽和水蒸気量が増えれば、水蒸気が水滴になって雨となる露点温度に達しにくくなるため、月があると雨が降りにくくなるはずである。
Kohyamaらは、気候が一年中安定している北緯10度から南緯10度の熱帯地方を対象に、1998年から2012年までの間にNASAの地球観測衛星が集めた気象データを解析した。その結果、降水量のわずかながら変動が観測された。月の重力の影響でもたらされる降水量の振幅は0.00078mm/hであり、総降水量の約1%程度である。
今回の研究結果は、実際の所、明日の天気予報に対しては大した影響は与えないだろう。しかしながら、長期的な気候変動や大規模な災害予測と言った大きな気候モデルには多少影響を与えるかもしれない。
スポンサーサイト