「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」がペタ電子ボルト級のニュートリノを初観測
- 2016/04/20
- 21:26
「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」が、世界で初めてPeV (ペタ電子ボルト) 級のエネルギーを持つ高エネルギーニュートリノを観測する事に成功したとM. Kadlerらの研究チームが発表した。
論文:M. Kadler, et.al. "Coincidence of a high-fluence blazar outburst with a PeV-energy neutrino event" (2016)

フェルミγ線宇宙望遠鏡によるPKS B1424–418のγ線光度曲線とPKS B1424–418のγ線光度分布。2PeVのニュートリノが観測されたHESE-35は赤線で示された時期に観測された。
画像引用元 (Nature)
「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」は、南極大陸の南極点付近のアムンゼン・スコット基地の地下に建造されたニュートリノ観測所である。南極氷床の深さ1450mから2450mの間に5160個の光センサーが埋め込まれた、体積が1km3にも達する世界最大のニュートリノ観測装置である。ニュートリノが氷と衝突し生ずるμ粒子が発するチェレンコフ光を捉える事を基本原理としているが、最大の特徴は、他のニュートリノ観測所がせいぜいGeV (ギガ電子ボルト) 級のニュートリノしか観測できないのに対し、アイスキューブ・ニュートリノ観測所ではPeV級のニュートリノを観測する事が期待できる事である。この様なニュートリノを生成するような高エネルギーの天文現象は、銀河系の外で起こる激しい天文現象を由来としていると考えられる。これは高エネルギー宇宙線の起源とも考えられているため、両者の突き合せは高エネルギーの天文現象の研究・観測に役立つと期待されている。
M. Kadlerらの研究チームは、観測データの分析から、世界で初めて2PeVのエネルギーを持つニュートリノの観測に成功したと発表した。このニュートリノの源となっているのは、ブレーザーと呼ばれる極めて活動的なクエーサー「PKS B1424–418」から放出されたものと考えられる。2PeVのニュートリノが観測されたイベント「HESE-35」の付近では、PKS B1424–418のγ線放出量が劇的に増加しており、活動が急激に高まった事が観測により判明している。PKS B1424–418の活動のピークは、HESE-35のエネルギーを十分に説明している。また、これが観測エラーである可能性も除外された。この事から、HESE-35は世界で初めてのPeV級ニュートリノの観測である事が明らかとなった。
今回の観測結果は、ニュートリノ天文学の新たなマイルストーンになる事が期待される。
論文:M. Kadler, et.al. "Coincidence of a high-fluence blazar outburst with a PeV-energy neutrino event" (2016)

フェルミγ線宇宙望遠鏡によるPKS B1424–418のγ線光度曲線とPKS B1424–418のγ線光度分布。2PeVのニュートリノが観測されたHESE-35は赤線で示された時期に観測された。
画像引用元 (Nature)
「アイスキューブ・ニュートリノ観測所」は、南極大陸の南極点付近のアムンゼン・スコット基地の地下に建造されたニュートリノ観測所である。南極氷床の深さ1450mから2450mの間に5160個の光センサーが埋め込まれた、体積が1km3にも達する世界最大のニュートリノ観測装置である。ニュートリノが氷と衝突し生ずるμ粒子が発するチェレンコフ光を捉える事を基本原理としているが、最大の特徴は、他のニュートリノ観測所がせいぜいGeV (ギガ電子ボルト) 級のニュートリノしか観測できないのに対し、アイスキューブ・ニュートリノ観測所ではPeV級のニュートリノを観測する事が期待できる事である。この様なニュートリノを生成するような高エネルギーの天文現象は、銀河系の外で起こる激しい天文現象を由来としていると考えられる。これは高エネルギー宇宙線の起源とも考えられているため、両者の突き合せは高エネルギーの天文現象の研究・観測に役立つと期待されている。
M. Kadlerらの研究チームは、観測データの分析から、世界で初めて2PeVのエネルギーを持つニュートリノの観測に成功したと発表した。このニュートリノの源となっているのは、ブレーザーと呼ばれる極めて活動的なクエーサー「PKS B1424–418」から放出されたものと考えられる。2PeVのニュートリノが観測されたイベント「HESE-35」の付近では、PKS B1424–418のγ線放出量が劇的に増加しており、活動が急激に高まった事が観測により判明している。PKS B1424–418の活動のピークは、HESE-35のエネルギーを十分に説明している。また、これが観測エラーである可能性も除外された。この事から、HESE-35は世界で初めてのPeV級ニュートリノの観測である事が明らかとなった。
今回の観測結果は、ニュートリノ天文学の新たなマイルストーンになる事が期待される。
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